セレクト、レイアウトと進めてきて、いよいよ入稿作業。3箱のストレージボックスに納めた340枚のプリントを東京のサンエムカラーさんに送った。
さて、いよいよ色校に進めると一安心したところで、サンエムカラー吉川さんより印刷スクリーンについての相談があるとの電話をいただいた。
印刷スクリーンについては、先日テスト印刷を行い、240線AMスクリーンか、FMスクリーンかを検討した。その結果、FMスクリーンを選択しようという流れになったのだが、入稿したプリントを仔細に見ていただき、かつ僕の仕上がりイメージをお伝えしたところ、高精細のAMスクリーンの方が適切なのではという提案だった。
この提案に至る理由のひとつとしては、色彩の彩度。
僕がネガフィルムで撮影し、銀塩プリントで仕上げている理由のひとつが彩度にある。デジタルの色彩は、クリアで明確な彩度が持ち味だが、一方のネガは、どこか濁っていて、すっきりしない彩度だ。これは僕の暗室処理の特徴でもあるのだが、この濁りのような色彩と、しっとりと湿度を含んだシャドウがプリントの魅力だと思っている。
こうした部分の再現を突き詰めていくと、FMスクリーンはどうしても再現しにくいとのこと。ある意味、デジタルっぽい明瞭な雰囲気になってしまうそうだ。それよりも、AMスクリーンでしっかりとシャドウ部やディティールの再現性を高めた方がベターなのではと相談を受けた。
ということで、急遽、AMスクリーンでの印刷に変更。僕のプリントをしっかり見ていただいての変更なので、より良い結果につながると期待している。
でも、AMもFMであっても重要なのは写真それぞれの力や編集の妙。そこは僕の責任なので、すべてを引き受けるしかない。
弁造さんの「生きること」をきっちり再現できるかどうか。そこが最も大切なところだ。