最後のポートレート#写真集制作

どうしても人間を撮りたい、生きることを撮りたいと切望して始めることになった弁造さんの撮影は、2012年の2月、弁造さんが逝くことでこのポートレートが区切りとなった。弁造さんの死後も撮影は続けているが、当然、生身の弁造さんにカメラを向けることはできない。そういう意味では、これが最後のポートレートだ。

その表情は何を物語っているのだろう。僕の目には、喜びでもなく悲しみでもなく、ただただ、その瞬間、弁造さんを内包しながらそこに流れている時間を見つめているように思える。

これが良いポートレートなのかどうか今もわからないけれど、ずっと見飽きることがなく、不思議な魅力を湛えた一枚だと感じている。

明日からは海外出張のロケに出かける。新しい世界を眺めながら、弁造さんのことを考え続けていたいと思っている。

 

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