8月も半分が過ぎ、秋の訪れを意識するようになった。
朝夕の気温が下がってくると想像をめぐらせていたのが、弁造さんの育てた森の紅葉だ。今年はどういう風に色づくだろうか?メープルの紅葉は今年も鮮やかだろうか。弁造さんはどうしているだろうかと季節が巡るたびに弁造さんの世界を想像することが常だった。
弁造さんはいなくなってしまったが、季節の変化は今も森やメープルの姿を僕に思い起こさせる。
弁造さんは苦労して手に入れたメープルが「かわいそうで、わしにはできん」といって、蜜を取るために穴を開けることができないでいた。おかげで、メープルは無傷で大木にまで育った。
今年、メープルはどのような秋を迎えるのだろうか。