庭の今#写真集制作

今年もいつものように青森から海峡を渡り、弁造さんの暮らした土地に向かった。

絵を描き、畑をつくり、森を育てて暮らした弁造さん。砂糖を得るために苦労して苗を手に入れたメープルは、死後、手入れの困難さから幾本かは伐られたが、残された木は緑の雲のように初夏の北海道の空に広がっていた。

弁造さんがいなくなってしまってすでに5年の月日が流れた。草木はいなくなった主人の面影を伝えながら繰り返される季節の中で静かに時を育んでいた。

何かを得て、何かを失う。

生前、弁造さんはこんな言葉を記していた。僕は弁造さんを失い、何を得たのだろう。

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